走り幅跳びの研究|ユーザー事例

     
  • 近年、モーションキャプチャーシステムを使ったスポーツバイオメカニクスの研究は、国内外で広く行われています。日本でもオリンピック・パラリンピックに向けて、さまざまな競技の動作解析が行われ、その結果をもとに科学的トレーニング方法の開発や、実践での指導が行われています。

    東京大学大学院 深代・吉岡研究室では、ナックイメージテクノロジーの光学式モーションキャプチャー MAC3D Systemを使って、走り幅跳びの踏み切り時における各身体動作の特徴を分析しました。

  • 科学的に身体動作を分析することで、コーチと選手が何に注目してトレーニングや指導を行えば良いかを導き出しています。

    <参考文献>
    EFFECTS OF SEGMENTAL ROTATIONS ON VERTICAL AND HORIZONTAL ENERGIES DURING TAKE-OFF OF A LONG JUMP
    ISBS-Conference Proceedings Archive,2018, 36(1),806
    佐渡夏紀、吉岡伸輔、深代千之:東京大学大学院
    2018 International Society of Biomechanics in Sports, New Investigator Award (Poster) Gold Medal (1st Place). 受賞対象

  • 研究・計測の概要

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    この研究の目的は、走り幅跳びの踏み切りにおける各身体動作の水平速度と鉛直速度への影響を検討することです。

    先行研究*1より、水平方向速度の減少を最小限に抑えて、鉛直方向の速度を上げることがロングジャンプに繋がることが分かっています。しかし、この二つはトレードオフの関係にあり、水平速度を失うことなく、十分な鉛直速度を生成するのは、とても困難だと考えられてきました。

    東京大学大学院 深代・吉岡研究室では、骨盤の動きに注目したところ、ロングジャンプの際に遊脚側の骨盤が上がっていることが観察されました。これは、重心が鉛直方向へ動くことを意味しており、鉛直方向の速度も発生します。これより、選手を正面側から見たとき、遊脚側の骨盤の上昇は、水平速度の減少なしに鉛直速度が生成されるという仮説を立てました。

    モーションキャプチャーシステム MAC3D Systemとキスラー社製の床反力計を使い、9人の幅跳び選手を計測しました。そのモーションキャプチャーデータより、重心の水平、垂直方向のエネルギー変化を計算しました。

    *1 Hay, J. G. (1993). Citius, altius, longius (faster, higher, longer): The biomechanics of jumping for distance. Journal of Biomechanics, 26, 7-21.

  • 計測の結果

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    ・大腿や下腿では、水平速度の減少と鉛直速度の増大が同時に生じており、トレードオフの関係となりました。
    ・骨盤の遊脚側挙上(正面から見て遊脚側の骨盤が上に回転)では、水平速度に影響を持つことなく鉛直速度を獲得していました。

  • この結果から、正面から選手を見たときに、遊脚側の骨盤が大きく上に傾いていることがロングジャンプに繋がることが分かりました。
    走り幅跳びのコーチや選手は、側面から見た動きだけでなく、正面から見た動きにも注目して評価すべきということが、この研究により分かりました。

  • システム構成

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    ・使用カメラ Kestrel2200×14台
    ・床反力計 キスラー×4枚

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